女性Sさん 68歳主婦 治療期間4ヵ月
Sさんは、10年以上続くうつ症状に加えて、医師の指導による糖質制限の食事をきっかけに低血糖症になりました。
そのため、家事や外出もままならないほどのひどいめまいや倦怠感などに悩まされていました。
これまで、内科や脳神経外科、精神科や心療内科などに通い、めまい止めの薬や精神安定剤を服用、低周波治療や鍼治療などを行っていましたが、一向に良くならないため、当院に来られました。
血糖は、腸内ホルモンと自律神経の働きが関係してます。症状は頭痛やめまい、動悸、冷や汗、手の震え、吐き気など、自律神経失調症と似ていますが、血糖値が急激に下がると意識がなくなることもありますので、数値管理や食事療法などは、専門医による指導が基本となります。
私たちは食事をすると、通常は血糖値(血液中のブドウ糖量)が一時的に上昇し、時間とともに穏やかに下がります。
このような血糖を調整しているのが腸内で分泌されるホルモンです。
ところがストレスの多い生活や睡眠不足が続き、食生活が乱れると、腸内環境が崩れて、炎症が起きます。
これによりホルモンの分泌がうまくいかなくなり、血糖の調節障害がもとで低血糖症になります(もちろん、これ以外にも低血糖症状になる原因はあります)。
腸内環境を整えることは、血糖バランスの安定につながるのです。
私たちの体は、日々の生活をスムーズに行うために、ホメオスタシスが備わっています。
ホメオスタシスにより自律神経系、内分泌系、免疫系のバランス機能を互いに調整し合っています。
したがって、自律神経を整えると、ホルモンバランスも整います。
また、自律神経(脳)と腸は密接な関係にあるため、自律神経の症状は腸内環境に大きく影響します。
Sさんの治療は、低血糖の治療である食事管理と適度な運動が基本になりますが、もともとうつ症状があるため、加えて自律神経が乱れにくい生活、つまり、ストレスとうまく付き合うストレスマネージメントがとても重要です。
Sさんには、カウンセリングでストレスマネージメントの方法を学んでもらいました。
すると来院当初は外出することやお風呂でシャワーを浴びることができず、首を横に回すと、めまいが起きていましたが、3ヵ月ほど経った現在は、旦那さんと一緒に、近くの公園で15分ぐらいの散歩ができるまでに回復しました。
また、シャワーだけでなく、湯船にも浸かれるようになり、一日を通して、めまいの頻度、回数ともに減りました。
そのため、表情も穏やかになり、会話は軽やかで笑顔も増えてきました。
以前に比べて、さらにSさんも旦那さんも前向きになられて、毎週通われています。
Sさんの今の目標は、低血糖の症状がなくなり、「血糖値を気にせず、おいしく食事がしたい」ということと、お孫さんとディズニーランドに行くことだそうです。