耳鳴りが不快過ぎて、「生きているのが嫌になる…」

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女性Aさん 76歳主婦 治療期間12ヵ月

主婦のAさんは、6ヵ月前に左耳、1ヵ月前には右耳が詰まったように感じて、聞こえが悪くなり、その後耳鳴りがするようになりました。

耳鼻科に通い、炎症や血行を良くする薬を飲みましたが改善しませんでした。

Aさんは、耳鳴りが気になるあまり、好きな読書ができない状態となり、気分が落ち込み、生きるのが嫌になっていました。

そんな中、以前、整体で首が良くなったことを思い出して、当院に来られました。

問診では、耳鳴りのほかに、動悸や不安感、疲れやすい、冷え性、慢性肩こりなどの症状を訴えられていましたので、自律神経失調症の耳鳴りではないかと考えました。

薬は睡眠導入剤を飲まれていましたので、自律神経失調症の改善にはとにかく睡眠が効果的なので導入剤は継続してもらいました。

耳鳴りの治療については、耳の病気であれば耳鼻科などで処方される薬で良くなる場合があります。

しかし、Aさんのように薬では良くならない場合もあります。

耳鳴りは、一般的に耳の機能の不具合によるものと思いがちですが、耳鼻科で処方される薬を飲んでも治りにくい耳鳴りは、自律神経の不具合と考えるのが妥当でしょう。

耳鳴りが起きるしくみは、次の通りです。

老化などにより聞こえる音域が狭くなる(難聴)

日常のストレスが過剰になる

脳や体の感覚が過敏になる

音域の一部分が聞き取りにくく感じる

聞くために脳が過剰に働く

耳鳴りが起きる


耳鳴りのストレス

耳鳴りが大きくなる…この悪循環です。

若い人でも、ストレスが過剰になることで、自律神経が乱れて、脳の興奮状態から体の感覚が過敏になり、耳鳴りが起きることがありまます。

つまり、耳鳴りが起きる原因は、脳の過剰反応なわけです。

したがって、治療法はシンプルに、脳にストレスや刺激を与えない生活をすること、

そして耳鳴りを過剰に気にしないことです。

Aさんは、耳鳴りのせいで、生活に支障が出ていましたが、私も以前は、Aさんと同じように耳鳴りが辛くてどうしようもない時期はありましたが、今はほぼ気になりません。

つまり、気にしない習慣化により、脳が気に止めない状態になるということです。

耳鳴りは治すというよりも慣れるという方が正しいのです。

耳鳴りに早く慣れるための方法があります。

耳鳴りの有無や音の大きさの程度などをあえて確認しないこと、耳鳴りにより日常生活を制限しないこと(趣味などやりたいことは気にせずやること)、BGMなどを使って耳鳴りが気にならない音のある環境をつくること、日常的にストレス発散できる対象(人や場所、運動や活動など)を持つことです。

Aさんへは、自律神経を整えるために、寝る時刻、起きる時刻を一定にすること(体内時計リセット)、朝日を浴びること(セロトニン分泌)、朝に腹式呼吸(吐くことに意識)でリラックスした状態で、肩甲骨のストレッチやヨガの「太陽礼拝」をすること(有酸素運動)などをアドバイスしました。

治療から約1年経ち、Aさんは今では、趣味の読書もできて、お友だちと定期的に健康麻雀を楽しまれています。

このように、自律神経失調症の耳鳴りは、自律神経の治療をしながら、「ストレス発散」を上手にすることで症状は軽くなります。

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