自律神経と脳の関係

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はじめに

自律神経失調症と戦う(治す)ためには、まずは、戦う相手である“自律神経の働き”を知ることです。

まずは自分の体の中で何が起きているのか、そのメカニズムを知りましょう!

私たちの体には、ホメオスタシス(生体恒常性)という環境の変化に対応し、体の機能や状態を安定させるための次の“3つの制御システム”が備わっています。

1. 体の働き全般を調整する自律神経系
2. ホルモン分泌をコントロールする内分泌系
3. ウイルスや細菌などの外部からの異物の侵入を防ぐ免疫系


これらは相互に機能し合っています。

その中で、脳の奥にある視床下部というところが自律神経の中枢部で、自律神経は全身をコントロールしている「司令塔」です。

脳の構造

脳の構造は、大脳、小脳、脳幹で構成されています。

大脳は脳全体の8割を占めています。

大脳の表面は2〜5mm の大脳皮質に覆われていて、その内側に大脳辺縁系があります。

さらにその内側に視床下部があります。

大脳皮質は知性や理性、創造性など、人間たる「精神的な部分」をコントロールしています。

大脳辺縁系は、食欲、性欲、睡眠欲、喜怒哀楽などの感情や動物的な「本能の部分」をコントロールしています。
視床下部は、自律神経、内臓機能、ホルモンの分泌などをコントロールしています。
たとえば、“怒り”の感情がどのように体に影響するかというと、大脳辺縁系から怒りの情報が視床下部に伝わり、さらに自律神経に伝わって交感神経(活動モード)が優位に働きます。

すると、心拍数が増加したり、血圧が上がったり、瞳孔が拡大したりと、怒りの情報が“興奮状態”として体にあらわれます。

また、視床下部(自律神経)は大脳辺縁系(本能や感情)だけではなく、大脳皮質(理性)からも影響を受けています。

そのため、ストレスによる感情の乱れや欲求が大脳辺縁系で生じると、それに対抗するかたちで、大脳皮質は感情や欲求を“理性”で抑えようとします。

しかし、その“折り合い”がつかなくなると、大脳辺縁系と大脳皮質の機能のバランスが崩れ、視床下部との情報伝達がうまくいかなくなります。

その結果、視床下部が自律神経(交感神経と副交感神経のバランス)をコントロールできなくなります。

さらに、脳幹にある橋や延髄にストレスが伝わると、血圧が上昇したり、心拍数が増加して、動悸や不整脈などが起こりやすくなります。

また、副腎系については、副腎皮質ホルモンであるコルチゾール(ストレスホルモン)が分泌され、炎症反応や免疫の抑制が起こり、風邪をひきやすくなったり、ケガや病気が治りにくくなります。

ストレスが長期的になると、脳の海馬が障害を受けて、「不安障害」を引き起こし、自律神経失調症から、うつ病やパニック症、認知症、糖尿病などの発症につながりやすくなります。

このように自律神経は、脳の各器官と複雑に連携しているため、脳のエラー(ストレスによる感情の乱れによる脳の機能低下)は、心や体の不調を引き起こしやすいのです。

脳内の自律神経の働き

自律神経の働きは、人間の生命活動のバランスを整えるために、体温、呼吸、心拍、血液循環、消化、吸収、生殖、免疫などの機能を一定範囲内にコントロールしています。

交感神経・副交感神経の働き

自律神経には「活動モード」の交感神経と、「リラックスモード」の副交感神経があります。

この2つの神経がともにバランスをとることで、不調を感じない心と体をつくっているのです。

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