ストレスの入口戦略と出口戦略

時々、自律神経やうつ病の患者さんに対して、「気持ちの持ちよう、考えすぎ」と、アドバイスする人がいますが、これは気休めにしかなりません。

根本から解決するためには、より具体的な対策が必要です。それが、ストレスに対する「入口戦略」と「出口戦略」です。

「入口戦略」は、ストレスを受けにくいように“脳にバリアを張る”ことです。

そして、「出口戦略」は、入ってきてしまったストレスを脳から効率的に出すこと、“ストレス発散をする”ことです。

まずは、ストレスの入口を「ストレス耐性」で強くすることです。

目次

①ストレス耐性で脳を守りましょう!

ストレス耐性の強化には、次の5つの「ストレスバリア」を身につけることが必要です。

快適に健康的に生きるうえでも大切な要素です。

1. ストレス感度を下げる(より鈍感へ)

外部からの刺激に対して、ストレスとして気づくかどうかという感度です。

鈍感であればそれに越したことはないのですが、普段からストレスを気にしないという意識と、ストレス感度を上げないために体調を整える努力が必要です。

体調が悪いと、ストレス感度は上がります。

2. ストレスをためる許容量を増やす(バケツを大きくする)

これは脳にかかるストレスをどれだけためられるかということです。

脳がストレスで飽和状態にならないように、普段からストレス発散と合わせて、ストレスを味方につけることでストレスをためる容量を増やせます。

3. ストレス対応力を上げる(かわす対応)

これはストレスに対して、過度に対応しないということです。

ストレスを受け流す意識が大切です。気持ちの持ちようにあたる部分です。

4. ストレス好転力をつける(ポジティブ思考に変換)

これはストレスを常に良いストレスに変える意識を持つことです。

たとえば、嫌な仕事でも、自分の成長のためと考えて、ストレスを前向きなエネルギーに変えます。

5. ストレスの学習をする(量が質を産む)

これは色々なストレスを数多く経験することで、同じようなストレスに出会った際に、ストレスとうまく付き合うことができます。

②そして次は、「出口戦略」である「ストレス発散」をすることです。

ストレスがたまらないように、バケツに穴を開けましょう!

ストレス発散の効果的なものをまとめました。

○質の良い睡眠をとり、朝は定刻に起きる

○栄養バランスのとれた食事をとり、腹7分で止める

・5大栄養素(土台)+トリプトファン(+α )をとりましょう!

トリプトファンは、納豆や豆乳などの大豆製品、牛乳やチーズやヨーグルトなどの乳製品、アーモンドやピーナッツなどナッツ類に多く含まれ、精神の安定や感情や気分をコントロールし、脳を活性化する“幸せホルモン”と呼ばれる「セロトニン」の材料となります。

トリプトファンからセロトニンを合成する際に“ビタミンB6”が欠かせません。

ビタミンB6は、玄米や小麦麦芽、鶏や豚のレバー、マグロやカツオの赤身、にんにくやバナナなどに多く含まれています。

トリプトファンとあわせてとりましょう。

・ゆっくりリズミカルに噛むことがセロトニンの分泌を促します。

・意識的に腸活をしましょう。

脳と腸は互いに深く影響し合っています。

腸の環境は、加齢や食習慣、ストレスなどの影響により崩れてしまいます。

そこで、納豆やヨーグルト、みそなど発酵食品と食物繊維(海藻、キノコ類など)を積極的にとり、腸内フローラ(善玉菌が多い状態)を整えましょう。

適度な運動(運動は循環とリズムが大切!)

適度な運動は、セロトニンの分泌を促します。
ウォーキングやランニング、サイクリングなど、「一定のリズムを繰り返す運動」を行うことで、セロトニン
の分泌が活性化されます。

ウォーキングであれば、1日8千歩を目安に、大股(筋肉強化と股関節の可動域アップ)で、遠くを見て(姿勢
を良く)、少し汗ばむくらいの速さ(脂肪燃焼)で歩きましょう。

瞑想やヨガ(腹式呼吸でリラックスする!)

ヨガは、呼吸を整えて、全身をくまなく動かすことで、全身への体液(血液、リンパ液、脳脊髄液)と酸素を効率良く
循環させ、心と体をリラックスできます。

また、肺は心臓や胃腸などの臓器と違い、自ら動かない臓器なので、横隔膜や肋骨の間の筋肉を動かすことによって呼吸をしています。

ヨガの呼吸のポイントは、横隔膜や肋骨を意識的に動かすことで、全身へ十分な酸素を送ることです。

ヨガや瞑想のゆっくりした「リズムの呼吸」がセロトニンを分泌しやすくします。

○お風呂(湯船に20分以上!)
○友人との会話(愚痴って笑う!)
○趣味に没頭(心から楽しむ!)
○仕事と家族との時間など、オンとオフを分けたメリハリのある生活(安らぎと幸福感を味わう!)

ストレスを受けやすいタイプや受けにくいタイプの差は、性格やその人の育った環境によるところが大きいのですが、特有の「行動パターン(傾向)」を知り、「ストレス耐性(入口戦略)」を強くし、「ストレス発散(出口戦略)」を行うことで、ストレスとうまく付き合うことができます。

このように、ストレスを受けやすい人、タイプがわかることで、自分の過去や現状のストレス状況が把握でき、今後のストレスとの付き合い方がわかり、その経験によって、ストレス耐性が強化されます。

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